3分以内で解る易しいコネクタの基礎知識−接点技術
コネクタは電子部品の一種ですが、注目度は低いです。コネクタについては参考書物も一般書店では目にすることはありません。そんなコネクタって何か?を平易な説明に努めました。コネクタはアプリケ−ションの種類により多種多様です。その為一つにまとめ難いので主に回路基板用コネクタを参考例にして書いています。その為、高度な疑問には内容が不十分かと思います。その際には、別途ご連絡ください。
コネクタとは?
先ず基礎から始めましょう。
コネクタはCONNECT(接続)を名詞化したCONNECTORの日本語です。
コネクタは機械的・電気的に接続する役目を持った電子部品です。半田結線による永久接続から必要時に外せることが出来るようになりました。ケ−ブルとケ−ブルをつないだり、機器と機器(回路基板と回路基板)を接続する時に使う電子部品です。
通常コネクタは2つの各々オス(Male)とメス(Female)とで構成されます。
オスは棒状ピンを持つ側です。メスは、オスピンの挿入を受ける凹状の側になります。
昔の映画の中で従軍している通信士達が無線機をバラバラにして戦場の前線基地に運び、また組み立てて通信していました。ここには沢山のカ−ドエッジや丸形コネクタが使われました。コネクタの発祥は、アメリカです。コネクタの登場により軍用の各種機器が各部品(モジュ−ル)として持ち運びそして故障したモジュ−ルの交換が出来ました。
コネクタは、半導体のような機能部品に対して『機構部品』と呼んでいます。
通常、ケ−ブル同士や回路基板にケ−ブルを接続するには半田で接続します。
もし接続された片方が壊れたら、良品に交換しなければなりません。その時、2つに接続され固定されたままだと困ります。電子機器は、各モジュ−ルが複合的に組み立てられます。そこで、『コネクタ』が必要になります。
コネクタの呼称いろいろ
コネクタは、使う場所や使い方に依って呼称が変化します。基板への搭載の違いによりオスはプラグ、メスはソケットと呼びます。 但し、ソケットはICソケットと分けて定義する為、リセプタクル(レセプタクル)と呼んでいます。
その他の呼称として、インサ−トプラグ(ピンまたはソケット)と呼ぶことがあります。インサ−トとは、コネクタ本体(絶縁体)にコンタクトピンが装填(そうてん)された状態を呼びます。またケ−ブルに付くコネクタでは、オス同士、メス同士で接続できない場合、用いるのがアダプタ(変換機器)です。このように呼び方が沢山あります。コネクタメ−カ−では、社内用語を整備して使用統一し、図面や資料からカタログ等迄円滑に正しい社内コミュニケ−ションを取ることができます。 しかし、メ−カ−間の用語の使い方に違いがあります。
次に、コネクタの使われる場所として、最も基本は回路基板です。電子回路を構成し、必要な機能を制御する信号が発生します。回路基板は、親基板(マザ−ボ−ド)を経由して子基板にそれぞれ信号のやり取りをします。その各々の基板間にコネクタが介在します。
マザ−ボ−ド側に搭載されるコネクタは『リセプタクル』と呼ぶ約束があり、ド−ダ−ボ−ド側に搭載されるコネクタは、『プラグ』と呼びます。 これは必ずしも、形状としてのオス・メスではない場合がありますので注意が必要です。
コネクタのカテゴリー分類
長い間、カ−ドエッジコネクタが使われました。
別称としてカ−ドジャック・カ−ドソケットとも呼ばれます。ワンボ−ドタイプのプリント基板への信号や給電用に使われる1ピ−スタイプコネクタを言います。絶縁材料を成形したインシュレ−タと呼ぶ箱状の中にコンタクトピンを装填したもので基板のエッジ部(各回路から引き出されたパタ−ンが指定された寸法ピッチで基板の端部に所謂カ−ドエッジ部を構成し、これが雄コネクタの機能を果たします)に挿入して使うものです。欠点は、基板のソリや加工公差のギャップをカバ−するためコネクタ側にマ−ジンとして多少過剰な精度やメッキ厚さを要求することになりコストが高いことです。しかし、各種電子装置の開発段階において、基板から簡単にケ−ブル出しができるなど使い勝手が良い点もあります。
産業用にはモトロ−ラのモジュ−ルボ−ドで採用されたDIN41612規格の2ピ−スタイプコネクタがその後一つの流れを作り、民生用分野ではピンソケット式の圧着コネクタが主流になりました。
より多くの制御や沢山のデ−タをすばやく送り出せるようにする為バス方式の採用といくつものモジュ−ル基板が必要になりました。その為コネクタも一個ではなく、複数個使いが必要になります。
これまで基板とコネクタの品質基準にギャップがありましたが、
サブタイトルのギャップとは、コネクタと基板の寸法公差のレベル差を指します。コネクタは厳しい公差を必要とします。そこで、基板をコネクタのオスの役割から外したのが2ピースコネクタの出現です。
2ピ−スコネクタを使う利点は2つのコネクタが規格統一され同じ寸法公差や品質基準で製造できる点です。そして、更にコネクタが国際規格(IEC規格等)に準拠することに依って、それぞれ違う国の製品同士でも正確に接続することが出来るようになり海外から自由に購入して使えるようになりました。
2ピ−スコネクタの出現により、最適な接触圧の制御が可能になり、金メッキの厚さが過剰にならなくても接触に問題がなくなりました。その後も接点技術と耐熱特性の高い絶縁材料の各要素技術の開発により、高性能なコネクタがどんどん作られました。もしもコネクタが無ければ、どんなに高機能の回路や半導体も生かすことが出来ません。
コネクタの信頼は精度の高い接点(コンタクト)構造を備えていることです。
コネクタに必須な性能は、スプリングの接触圧を長期間維持することです。その結果接触抵抗値※を低く安定させることが出来ます。※初回挿入以降の値で計測
最近のアプリケ−ションの必要性に応え、コネクタは益々小型化しています。ここで焦点になるのは、接触圧をいかにして効率良く得るかという課題です。つまり、小型化と共にスプリング性の確保とインシュレ−タへのホ−ルドのさせ方を解決させることです。
コネクタを使用するには、端子のスプリング構造を知ることが先ず重要です。市場標準規格準拠(USB・LAN規格等)のコネクタの場合、外観上は横並びの各社製品の間で、一体どんな違いが有るだろうか?重要な疑問です。そこには構造の違いがあります。特にリセプタクルコネクタの接点構造を念入りに工場顕微鏡等で観察してください。
端子形状の違い・メッキの掛け方の違いがあります。特にインターフェースコネクタの場合、ホスト側に搭載される受け側コネクタは多少過剰かと思う位十二分な性能のものを使って下さい。理由は性能にバラツキあるケーブル側コネクターが接続される接続品質をカバーしたいからです。
参考:LANコンタクトでの参考例
この構造次第で、コネクタ品質の90%以上に影響します。
端子を作るには、原材料のバネ用銅材を切削したり、プレス機で打ち抜いたり、叩きながらスプリング(の構造)を作ります。切削して作る端子は、『スクリュ−コンタクト』又は『丸ピン』と呼んでいます。「丸」とは輪切りにした切り口が丸い形状だからです
ICソケットでは、内部に『インナ−クリップ』と呼ぶスプリングが装填され、筒状の中で働かせ耐久性のあるスプリング特性を維持するので性能が良いとされています。
プレスで打ち抜いて作る端子は、『スタンプコンタクト』と呼ばれます。市場にあるコネクタの殆どはこの方式の端子が多いです。金属プレスの歯で金属を切断すると、途中まで切れた後金属が千切れギザギザ状態(特に厚い場合)になります。
この生産特性によってできる剪断面(せんだんめん:プレス機で破断した部分)を接点に使う製品と使わない製品があります。これも、確認事項の一つです。昨今の革新された金型精度によって、スタンプコンタクトも優れた製品が沢山あります。このバネ用銅材からスプリングを製造しますが、出来るだけ滑らかなコンタクト表面に作れることが基本的条件になります。
ドイツのメーカーでは、破断面を90度捻り金属のフラット面を接触ポイントにした優れたコンタクト構造としてパテントを持っています。
接触面の加工精度により、金メッキの厚さにも大きく影響がでます。安くするために金メッキの厚さを薄くするのではなく、薄くできる加工品質を持ったコンタクトであることがメッキ厚さに影響します。フラッシュメッキ(0.1ミクロンm程度)でも、コンタクト表面の滑らかさ次第では問題なく使うことが出来るのです。
※実際は、使用状況・物理的・化学的要因が影響します。
コネクタのコンタクトが接触するメカニズムはどうなっているか?
顕微鏡レベルで覗いてみましょう。左の図は、接触部を拡大し横方向から覗いたものです。 この突起した接地部分(A-スポットと呼ばれます)に電気が流れる様子が分かります。後で接触抵抗を取り上げますが、接触面積の大きい所と小さい所で電気の流れが違います。まるで川がゆったりと流れたり急流と同じような状態が見られ、電気抵抗値として現れます。平準化した接触表面を形成するには、メッキをします。
※メッキ処理は端子にとって重要な最終工程です。そこでメッキはPlatingですが、コネクタでは別称Finishと呼びます。
次に接触部で問題になる腐食について、そのメカニズムも知りましょう。
コネクタの接触部の腐食は非常に複雑です。 ここでは代表的な2つの腐食メカニズムを取り上げてみます。一つは、接触部表面の腐食、二つめは微摺動による腐食です。
一般的な接触部表面ですが、実際銅合金に対する酸化現象です。その防止の為、金メッキで表面を覆います。 二つめの微摺動摩耗(びしゅうどうまもう)これは、別名、『フレッティングコロ−ジョン』と呼ばれます。 この現象は、コネクタやスイッチの接触部等で発現される物理現象です。 スズメッキに、顕著にこの問題が見られます。フレッティングという用語は、数ミクロン、または数10ミクロンの最小寸法単位で繰り返えされる動作のことです。振動、機械的または熱の衝撃など、さらに温度サイクルによる熱膨張の違い等によって、この作用は加速される傾向があります。
この図は、微摺動のメカニズムの様子です。aからcまでのミクロンレベルの一連の摺動が繰り返され最終段階のd図で絶縁物質(酸化皮膜クズとなって堆積する)によって、完全に通電状態が失われた状態を示しています。
最初の動きで酸化皮膜がワイプ(擦り取る)され、次のb図では擦られた後に新しい酸化皮膜が形成されます。c図では最初の位置に戻る動作により、古い皮膜と新しい酸化皮膜の再形成の様子です。初期段階はまだ酸化皮膜を擦り取るのですが、何度も繰り返えされると、古い皮膜を完全に除去できず堆積され絶縁状態になります。これが接触不良原因のメカニズムです。
※参考対策剤
金接点での導通不良?
金メッキされた接点で、接触不良が起きたことが最近も報告されています。勿論、以前からこの現象の報告はありました。金は錆びないのに何故か?大抵は疑問に思うことです。金メッキと言っても、接点間には空気の層が介在します。空気の層には浮遊する不純物質が存在するので時間経過により吸着堆積します。特に湿度の高い環境では、微摺動によりさらに接触表面をコロイド状に覆い、接点の温度により硬化し不導体化します。その結果、導通不良が起きます。金メッキ接点は、多極で挿抜し難さを改善する手段の一つとして接点圧が錫メッキ接点と比べ、約1/3と弱く設定されます。そこで積極的なワイプが重要になります。挿抜時に接触部表面のゴミ等の絶縁物質を擦り取ります。これがワイピング作用というものです。新しい金メッキコネクタは、ワイピング効果を織り込んだ設計がなされているか確認してください。不十分な場合、接触不良サイクルを統計的に確認し、定期的にコネクタの挿抜や接点清浄を行ったり、接点潤滑剤の塗布も有効です。
※高電流下で使用するコネクタは除く。
コネクタと熱
コネクタの接点には種々の抵抗があるので電流が流れると熱が発生します。更に実際の使用環境では周囲温度が影響します。つまりコネクタが嵌合状態の時、接点部にも抵抗があるので流す電流量により、ジュ−ル熱が発生します。接点に流れる電流値の2乗に比例し熱が発生すると言われます。この熱による悪影響は、接点部表面の酸化促進や端子溶融等(給電端子等)です。常温(通常、室温20℃)状態での性能を定格電流値として規定しますが、回路基板用コネクタでは接点上昇温度を30℃以下と定め、許容電流値が決められています。電源部やCPUだけでなくコネクタでも出来るだけ通風良くすることが必要です。
接触抵抗値は何を示すか?
コネクタの指標の一つとして、接触抵抗があります。コネクタが嵌合する時、コンタクトピンが接触する(前述の通り沢山の凹凸状態)面積と圧力に応じての抵抗があり、加えてコンタクトピン全体の導体抵抗もあるのでその合算した値を総称した意味になります。コネクタでは、抵抗値の試験デ−タから値のばらつきの変化を見て判断します。初期の値から一度変化しますが、その後安定していることが重要です。近年の低電流/低電圧回路での使用では、ますます接触抵抗値の安定が重要になります。外見は同じようなコネクタの素性が抵抗値の変化で判断できます。
注)真の接触抵抗=導体抵抗(a-spot合算)+フィルム抵抗(酸化被膜・フラックス・洗浄液汚れ・ほこり・ゴミ汚染物質)
最新のコネクタに要求されること
スマ−トフォンやiPadなどタブレット機器の出現で、オフィス内で使用される固定型機器に使われているインタ−フェ−スコネクタが携帯機器にも最適化させる変化を見せています。
今注目のインタ−フェ−スは、USB3.0、HDMI、それにDisplayPortです。
そして、モバイル機器の省スペ−スの要求とさらなる小型化から度々経過処置的に形状を変えつつ、今マイクロUSB、HDMIではタイプD、Mini DisplayPortと小型専用の形状が登場している。さらに最近アップルにより提唱されたコンボタイプコネクタのように進化し続けている。
小型化の次に求められるのは高速伝送特性の向上だ。
そこで特性インピダンスとスキュの2要素のマッチング(整合)が重要となる。特性インピ−ダンスの整合条件として、コンタクトの断面積形状(導電率に影響)及び絶縁体(誘電率の影響)のチューニングがあります。例えば、SMTの端子形状のように同じ長さの端子配列が特性インピダンスのマッチングには有利となります。その他として隣接する信号ピンの間に空ピン(電気的接続のない)のピン配列も効果的です。
新たな市場として、モレックスは電気自動車の内部インターフェースにこれら民生機器で発展しているUSB等を使おうと新しい提案をしました。これまで以上に高速伝送で影響となるEMI対策のシールド処理方法の確立及び部品加工、開発技術者以外に生産技術者の柔軟なアイデアや対応能力も重要になります。この辺りになると有名ブランドだから大丈夫とも言えないようです。
コネクタの工場の中は
これは、ドイツのERNI社のコネクタの生産フローの動画です。中々こういうのは工場見学でもしないと一般には見られないので貴重な映像です。コネクターの製造は、装置産業の典型になっています。日本もこんなイメージです。
